yamayama_photo日記

心に残るよしなしごとを写真とともに書きとめる草ログ

DIALOG MUSEUM

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Dialogue in the Darkが1988年に最初に開催された地フランクフルトへ行き、その暗闇ツアーをDialog Museumで体験した。このmuseumは2005年に設置されたものだ。

このDialogue in the Dark は 視覚障害者がガイドとなって暗闇の空間を体験するツアーだ。exhibitionと紹介されていて、"見えない世界を見る展示"? もしかしたら普通の言い方なのかもしれないが、私にはmuseum、exhibitionという表現にも多くの意味を感じられ、気になった。


発案者のDr.Andreas Heinecke(アンドレアス・ハイネッケ博士)は「『盲目とは暗闇である』といってしまうのは、あまりに単純化している※1」「盲人にとっての暗闇とは差別や社会的排除、偏見に晒される現状に対する比喩と捉えるべき」と言っている。
このDIALOGMUSEUMという場所は、様々な理由で社会の「暗闇に立たされている」人たちや、「不幸な境遇」に立たされている人たちにとっても、暗闇にいないと思っている人にとっても、誰にでも、外見も地位も偏見もない出会いを提供することができる場所となる。
こういう意味から、"見えない世界を見る展示"というのは、相手を改めてみる、自分自信を改めてみるために、人を含めて世界を改めて見て識るという場所と考えると、museumで良いのだと納得した。


フランクフルトでのDialog Museumの予約は、英語のグループがちょうど空いていたので、指定された日時でチケットを取り、楽しみと怖さと入り混じって会場へ向かった。


受付をすませ眼鏡や貴重品は全てロッカーにしまい、開始時間を待った。周囲はグループできている人が多かった。
はじめ簡単な注意を受けるのみで白杖を渡され、怖いと思う間も無く暗闇のツアーが開始された。そこで出会った同じグループのメンバーはロシアから来たという二人連れの少女や、スペインからの親子三代の方々など。目的は聞かなかったが、観光のように見えた。
暗闇ツアーは視覚障害のあるガイドが、簡潔な言葉で参加者に付かず離れずの距離でサポートしてくれた。
細い道やら坂道やら、森の中、交差点も渡った。最後に入ったバーではみんな好みの飲み物を購入し、ベンチに詰めて座り、ゆっくりとした会話の時間があった。暗闇に入って行く導入に時間をとる日本とは、逆の印象だった。
"見えない世界を見る展示"とは私にとって、ガイドの言葉を聞きどこにどんなものがどのようにあるのかをとりあえず了解し、そこで自分が周囲の人々や空間とどのように関われるのかを模索したものだった。その際には、もちろん相手が誰でどんな人かは知る由も無く、無条件に信頼した。


フランクフルトではexhibition以外にも、先駆けとなる多くのコンセプトを展開していた。現在、新しいコンセプトとして行われているDialogue in the Silence(言葉の聞こえないダイアログ)もフランクフルトがきっかけになっている。
しかし、残念ながらサイトを見ると年内いっぱいでこの場所は閉館するようだった。

今はハンブルグを中心にソーシャルインクルージョンというコンセプトで、多様な障害を対象にしたDialogue活動がはじまっている。
「沈黙」「時間」などがテーマとなり、 社会での弱者と強者が逆転したり、新しい関係性への気づきが提案されている。「時間」では高齢者がガイドとなる今の時代には興味深い試みだ。

日本でも最近、青山の常設展示は閉館され、各所で新しいDialogueや研修事業が盛んに行われるようになった。

Dr.Andreas Heineckeは哲学博士だが、この事業を世界中で展開する組織を設立しビジネスに繋げることができるようにした。社会改革を目指した新しい起業の創設者とも言えるようだ。

※1 視覚障害者の内訳では全盲よりその他の視力や視野の障害などが多く、その障害の状態は一人一人異なっている。

 

Home - DialogMuseum Frankfurt - der Besuch der Sinne macht

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