yamayama_photo日記

心に残るよしなしごとを写真とともに書きとめる草ログ

京都 みずのき美術館

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久し振りの京都は最初は雨がぱらぱら降っていたけれど、着いてすぐ天気が良くなり夕日が輝いてきた。
ホテルの向かいの京都御所は朝夕の散歩が気持ちよく、多くの人が行きかっていた。門からの景色も美しかったが、道路標識や各種注意の看板が多く景観を損ねていたのがとても残念だ。

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宿泊先から近いJR二条駅から山陰本線で20分ほどの亀岡まで移動し、小さな美術館を訪ねた。
二条駅のホームに立って気がついたが、屋根はアーチを描いた木造トラス構造になっていた。木の組み合せが美しく、二条城らしいと思った。旧駅舎も京都府有形文化財となっている趣のあるものだったようだ(現在は移築されている)。

この山陰本線嵯峨野線という愛称らしく、亀岡までは京都の名勝の嵐山や嵯峨野を通過した。途中の駅は渓谷の上や、田園風景の中で爽快だった。

 

亀岡駅からのんびり歩いて10分くらい。旧市街の中に道路に向かって大きな窓が印象的な2階建ての美術館をみつけた。設計は2012年ベネツィアビエンナーレ建築展で受賞した乾久美子氏。東京芸大の先生だ。大正時代に建てられた町家で元理髪店を改装している。入り口には理髪店のサインポールが残っている。この古い町家を美術館とすることにつき乾氏のサイトでは次のように書かれていた。「周辺地域の中でも比較的情けない部類に入る町家を購入して美術館へと改修することを発想した。私たちは彼らの意気込みやセンスに感動し、町家の記号性を極力排除しながらも町家のよさが引き立つような改修を試みている。」

みずのき美術館は2012年に開館したアール・ブリュットの小さな美術館。日本のアール・ブッリュットの草分け的存在で、長くこの地で障害者のアートを支援してきた社会福祉法人松花苑が運営している。松花苑が運営する障害者支援施設「みずのき」では、設立5年目の1964年という早い時期から、入所者に「絵の時間」を設けていたそうだ。 

 

開催中の展示は「ayubune 船を作る」。アメリカ人の船大工・ダグラス=ブルックスが約ひと月かけて、この美術館で保津川に伝わる和船「鮎舟」を制作、展示したものだった。この美術館が船作りの工房となっていた。この船作りには自己や社会に対して深い悩みをもった7名の素人の若者が参加したそうで、手仕事を通して育まれる関係性を、美術館で見守り取り組むワークインプログレスと言っている。


アートとは創ることなのか、作品を発信することなのか。美術館とはなにかを創るところなのか、作品を展示するところなのか、など改めて考えさせられた。アール・ブリュットという多様性を受け入れる美術館としてとても面白い試みだと思う。

展示された鮎舟はすでに進水式で一度、保津川に浮かんだそうだ。その後、地元、保津川のイベントで鮎釣りに実際使用されるはずだったが、雨による増水で中止となってしまった。

制作の名残が残る静かで明るいギャラリーに展示された鮎船は、木目とアールがとても美しく、杉の木の香りがただよっていた。

 

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みずのき美術館

 

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 JR山陰本線 二条駅

 

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 京都御所

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京都御所