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心に残るよしなしごとを写真とともに書きとめる草ログ

絵本『みんながヒーロー』で子どもたちに伝えるコロナに負けない生活

新型コロナウイルス感染の収束がはっきり見えない現在、多くの人が困窮し、不安を抱いている。これは子どもたちも同様で、不安やストレスは大人以上かもしれない。

コロナの怖さや状況を大人は了解していても、子どもたちは急に外に出て遊んでは行けないとか、小学校が休校となり友だちと会えないなど、詳しい説明もなく大人の言うことを聞かざるを得ない状況になりがちではないだろうか。

 

そんな世界中の子どもたちのメンタルヘルスを考えた絵本『みんながヒーロー』が、国連の機関間常設委員会レファレンス・グループ(IASC MHPSS RG)」のプロジェクトにより制作された。

 

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新型コロナウイルス感染症の流行が続く中での、子どもたちのメンタルヘルスおよび心理社会的ニーズを評価するため、アラビア語、英語、イタリア語、フランス語、スペイン語で世界的な調査が実施され、その調査結果からこのストーリーが展開された。

現在は多言語に翻訳され、「機関間常設委員会(IASC)」のサイトなどで公開されている。         (*リンクは文章最後参照)

 

コロナ禍の104カ国に及ぶ1,700人以上の子どもや、保護者、教員に新型コロナウイルス感染症との向き合い方についての声を聞いたことにより、コロナ禍の子どもの生活が分かりやすく描かれ、国や文化、社会背景などの違いによる状況の理解も深められるようなインクルージョンなストーリーになっている。

また、世界中の子に自分を守る方法を教え、教えられたその子もまた他の人を守れるようにという優しさに溢れ、つらさにも耐えるような子どもへのエールが感じられるストーリーだ。

 

ただし、日本語版では注意する点がある。感染予防のための基準は英語原書では世界保健機関(WHO)の指針に沿っているため、翻訳された日本語版でも人との距離については「“少なくとも”1メートル」となっており、ほかに咳の仕方などにしても日本の基準とは異なっている。日本の子どもたちにはより安全策の日本基準を、分かりやすく説明することが必要となる。

そのため、この絵本は保護者あるいは先生などの大人が子どもたちをサポートして、一人または少人数のお子さんに読み聞かせをするように、あるいは一緒に読んでいくようにすすめられている。

 

こういった多国籍の人々を対象にした絵本が緊急に作成され、あっという間に世界中に配信されたことは、本当に心強い。また、読み方についての注意があることも子供の本には大切なことだ。 

 

フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が次のように言っている言葉が印象的だ。

「この世界のすべての人を守る対策を考えなければ、誰も守ることができません」

新型コロナウイルスを機にインクルージョンな世界を広げられるチャンスでもあると思う。

 

My Hero is You, Storybook for Children on COVID-19 | IASC (英語ページ・多言語ファイルのリンク)

みんながヒーロー(日本語版)