yamayama_photo日記

心に残るよしなしごとを写真とともに書きとめる草ログ

ドキュメンタリー映画「A2-B-C」

震災後の福島の子どもたちをアメリカ人監督イアン・トーマス・アッシュが取材したドキュメンタリー映画「A2-B-C」をみた。

タイトルのA2-B-Cは甲状腺の腫瘍やしこりの状態レベルを表す。

 

映像では明るく元気そうに笑ったり遊んだりしていた子どもたちだったが、室内で遊ぶことが多く、自分の甲状腺の嚢胞やしこりが増えてレベルがA2になったことや、将来の自分の命についても淡々と語る姿には胸が詰まった。

子どもたちには表面的な情報しか伝わっていないように感じられ、大人も正確な情報がないのだと思うが、正確な情報が説明されていないことが良くわかる。

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ここのところ,福島第一原発周辺で鼻血が多量に出る症状が話題になっているが,TVやネットの中では双葉町の元町長と現町長は全く反対のことを話している。
どちらも真実なのか、どちらかが嘘なのか。私には分からないけれど、個人差があると考えればどちらもあり得ることだ。
それが放射線の影響だということも、放射線の影響ではないということも、今すぐには分からないとすれば、今後も多くの目で見守り、事実をはっきり知って悪い状況へ行かないように支援することではないかと思う。

 

いろいろはっきりしないことも多く、真反対な情報もあることも理解出来るが、映画の中の子どもたちは不明快な情報で、自分の健康に不安を抱え、屋外での遊びを規制されている。映画の中のインタビューに応える子どもたちは、大人と同じように自分たちの境遇をよく理解していた。

このような状況にいる子どもが間違いなくいるということは悲しいことだ。

そんなことは風評被害だから気にすることはないと否定してしまうことは簡単だが,その風評被害のひとことの中にいろいろなことが消し去られてしまっているのも間違いない。

「隠蔽」は場合によってはしても良いことなのか、いや隠蔽しない方法はあると思う。
「被爆」による障害ということも間違いなくあるのだ。少ないから安全ということは完全にはないはずだ。

 

上映後にこの映画のイアン・トーマス・アッシュ監督が発言していたが、日本以外の国でも同様の事故が起きたとしたら同じように政府などの情報隠蔽があったり、風評被害があるだろう。そのようなことにならないように、いま正しい情報を世界中で共有出来るようにしたいと言っていたのが印象的だった。

 

◎映画「A2-B-C」公式サイト  

http://www.a2-b-c.com/index.html

◎予告編  

https://www.youtube.com/watch?v=6xLwVc-V1RU