庭にあらわれる雑草たちの由来
庭の隅に見かけない植物をみつけた。
植物と言って良いのかもはじめは分からなかった。オブジェのような、何かの部品のような異様な雰囲気だ。近づいてみる余裕もなく出かけてしまったが、あとでそれは茸だということが分かった。
アミガサタケ(Morchella esculenta (L.) Pers. var. esculenta)は、アミガサタケ科アミガサタケ属に属する子嚢菌類のキノコの一種である。
その後、近づいて写真を撮った。少し離れたところに3つ生えていた。
ちょうど桜が終わったころにでてくると書いてあったサイトもあるので、アミガサタケに間違いがないだろう。珍しいと思ったが、以外と都内でも見受けられるようだ。
庭のアミガサタケはサイトで検索したものより形は悪い。食べるのには気持ちが悪いけれど、調理をすると美味しいらしい。フランス料理ではモリーユと言って良く使われる食材のようだ。
10数年見続けている庭だが、初めてこのキノコを見たというよりも、キノコ自体を初めてみた。なんでこんな植物がここにと考えたが、いま生い茂ってきた雑草を見ていて、何でも飛んでくるものなのだと納得した。
この庭だけでも、ここ数年で猛威を振るう雑草が年ごとに変わって来ているのに気付いていたからだ。
何年か前に庭がムラサキハナナで一杯になって美しいことがあったが、気がつくと数年後にはナガミヒナゲシで一杯になった。このナガミヒナゲシは同じ頃に仕事場の周辺やその後も行く先々で見るようになった雑草で、ここ数年で急に増えてきた。
原産は地中海沿岸、日本では1961年に世田谷区で初めて確認された帰化植物だ。種が小さくて大量に結実し、車のタイヤなどについて日本中に広がったようだ。コンクリートによってアルカリ化した土壌でも充分繁殖するとても丈夫な植物だ。
今年の庭の雑草はどちらかというと昔から多かったノビルとつくしの中にナガミヒナゲシがちらほら咲いている。ムラサキハナナは全く見えなくなった。
しかし、もしかしたら今年はアミガサタケも増えているのかもしれない。というのも、友人が都内の公園の植え込みでアミガサタケをみつけている。植物に造詣の深いその友人も初めて目にしたようだった。
今年の天候や風向きがアミガサタケの胞子が関東近県で出てくるのにちょうど良い条件になっていたのかも知れない。
住宅や街路樹の植栽にはあきれるほどの経済的な流行があるが、雑草の流行には人工的な理由はないだろうと思った。しかし、大きく見ると自然のありようを狂わせてしまうという人工的な理由も多いにありそうである。